SBIが越FPT証券と提携、株式20%取得 保険参入も視野

SBIホールディングス傘下のインターネット証券最大手SBI証券が来春にも、ベトナムの大手証券会社FPT証券の発行済み株式の20%を取得し、資本提 携することが24日、分かった。SBIはベトナムの現地銀行にも出資しており、銀行、証券に続き、将来はベトナムでの保険業務への参入も視野に入れる。

SBIの北尾吉孝CEO(最高経営責任者)とFPT首脳は同日、株式の取得費用約20億円で合意する文書に署名した。FPT証券はベトナムIT(情報技術)大手FPTグループ傘下で、SBIと同グループとは共同で投資ファンドを運営するなど提携関係にある。

今回の資本提携により、SBIは、FPT証券が主幹事となる新規株式上場(IPO)業務に関連し、海外機関投資家から資金を集めるなどの業務を担当す る。SBIはマレーシアやシンガポールなどのアジア各国で現地企業などと投資ファンドを共同運営しており、これらのネットワークを活用する。

また、FPT証券が取り扱うベトナム企業約300銘柄の株式の売買も始める。当初はコールセンターや全国の支店を通じて取り扱い、需要次第では、オンラインで直接売買できるようシステムを接続することも検討していく。

SBIがベトナムのIPO業務に乗り出す背景には、現地で国営企業の民営化に伴うIPOが増えているからだ。SBIはグループの2013年3月期の営業利益を09年3月期比約30倍の1000億円を目標としている。

ベトナムは10年のGDP(国内総生産)成長率が年初目標値の6.5%を上回る見通しで、同社にとってアジア新興国での収益基盤の拡大は不可欠だ。

すでにカンボジアで08年に約6億6000万円を出資してプノンペン商業銀行を開業したほか、今年10月には同国での証券事業ライセンスを取得。ベトナ ムでも09年にティエン・ホン銀行に約17億4000万円を出資しており、まずは現地証券、銀行との連携により市場開拓を進めていく考えだ。(金谷かお り)

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国会経済委員会、2010年CPI上昇率の見通しは8.4%

国会経済委員会はこのほど、年初9か月の経済状況報告と年末までの経済状況予想を発表した。これによると、9月と10月の消費者物価指数(CPI)上昇率 がそれぞれ前月比1.31%、1.05%と、ここ数年で最高水準を記録したことにより、年初9か月のCPIは年間計画の7~8%に迫る6.46%まで上昇 した。

自由市場における金価格が高騰し、通貨ドンの対ドル為替レートが下落している状況に加えて、例年11月と12月のCPIは大幅に上昇する傾向があるた め、国会経済委員会は、CPIの上昇を抑制するために妥当な方策が講じられなければ、2010年CPI上昇率は8.4%まで上昇する可能性が高いと指摘し ている。

揺れるタイ、もたつく3G携帯 クーデター余波、事業入札が白紙

アジアの経済成長エンジンとして期待されるメコン5カ国(カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム)の中で屈指の経済力をもつタイが、携帯電話事 業でもたついている。動画配信や国際通話などの高付加価値機能に欠かせず、いまや世界の潮流となった第3世代(3G)移動通信システムの本格導入に踏みき れていない。ベトナムやラオス、ミャンマーはすでに3G時代を迎えており、タイは携帯電話で近隣諸国に後れをとった格好だ。

タイで3Gの導入が遅れているのは、政治情勢が大きく影響している。2006年9月に発生した軍事クーデターにより、通信事業の許認可権をもつ政府機関に“異変”が生じた。

携帯電話事業者に与える3G免許について、当初、国家通信委員会(NTC)が10年9月20日に入札を行うことになっていた。ところが、通信事業者の国 営CATテレコムが、NTCには入札権限がないとして提訴、同23日にタイ最高行政裁判所が同委員会による入札差し止めの最終判決を下した。3G免許の入 札が白紙に戻ったわけだ。

NTCは、1997年憲法に基づいて04年10月に設立された。だが97年憲法は06年の軍事クーデターで失効し、07年の新憲法に基づき、NTCは国 家放送通信委員会(NBTC)が新設されるまでの暫定機関となった。これが、NTCには3G入札の権限がないとCATテレコムが主張した根拠だ。

国営タイ通信によると、ゴーン財務相は最高行政裁判所の判決を受けて、「3G入札の差し止めは、タイ経済にマイナスの影響を及ぼすだろう」と懸念を表明 した。また、バンコク・ポストによると、タイ工業連盟のパユングサク会長も「入札中止でタイは外国投資家の信頼を失った可能性がある。タイへの投資には法 的な壁があるとのメッセージを外国人投資家に発信してしまったからだ」と述べた。

現地紙ネーションによれば、タイの携帯電話普及率は今年6月までに100%を超えた。

タイ国内の携帯電話機市場は、韓国のサムスン、フィンランドのノキアが大きなシェアを持つ。タイや中国製の安い機種も多く出回っているが、付加価値の高い機種となると外国製がほとんどを占める。

3Gへの移行で足踏みをしている間に、データ通信機能が得意な日本メーカーにも売り込みのチャンスがありそうだ。ちなみに、NBTCはいまだ発足に至っていない。(シンガポール支局)